ユナイテッドが残した“置き土産”。アストン・ヴィラの強みと弱みを解剖【25/26シーズン】

試合レビュー

どーも、てぃしーです。

今回は、アストン・ヴィラのフットボールについて考察していきます。

111年ぶりの公式戦10連勝を達成したヴィラが、どのようなフットボールを展開しているのか非常に興味を持ち、徹底的に分析してみようと思いました。

本記事では、【25/26プレミアリーグ第17節】アストン・ヴィラ対マンチェスター・ユナイテッドの一戦を振り返りながら、ヴィラのフットボールにおける「強み」や「弱み」を考察していきます。

この試合は、ロジャーズの2ゴールによりヴィラが2-1で勝利しており、今季のヴィラの特徴が色濃く表れた一戦だったと言えるでしょう。また、ユナイテッドは結果的に“ヴィラ攻略のヒント”を残す形にもなったように感じられます。

てぃしー
てぃしー

かなり参考になりました…!

今回は、主にヴィラの攻撃面の特徴に焦点を当てて見ていきましょう。

ヴィラの基本フォーメーションとビルドアップについて

エメリ体制でのヴィラは、(4-2-1-3)を基本フォーメーションとしている。

攻撃時のビルドアップにおいても、この(4-2-1-3)の形を保ちながら前進を試みる。

次の項では、ユナイテッドがヴィラのビルドアップに対して、どのようにハイプレスを掛けたのかを見ていく。

ユナイテッドのハイプレス

【図①】ユナイテッドのハイプレス(4-1-4-1)


ヴィラのビルドアップ(4-2-1-3)に対する、ユナイテッドのハイプレスの掛け方は……

【図①】を参照しながら確認。
  • ハイプレスは(4-1-4-1)の形で構築。
  • インサイドハーフがヴィラの2ボランチをマーク。
  • アンカーがトップ下(ティーレマンス)を捕まえる。
  • 右SBへの展開に備え、左WBをあらかじめ高い位置に配置しておく。

ユナイテッドのヴィラのビルドアップに対するハイプレスの掛け方は非常に整理されている。

ヴィラのビルドアップに対するユナイテッドのハイプレス(GIFアニメーション)

基本システムは5バックだが、守備時には(4-1-4-1)のような形に変形。左WBのドルグをあらかじめ高い位置まで押し上げることで、ヴィラの右SBにボールが渡った瞬間、すぐにプレッシャーへ行ける布陣を作っている。

中盤では、インサイドハーフがヴィラの2ボランチをマークし、アンカーがトップ下のティーレマンスを捕まえる。これにより、ヴィラの中央ルートを封鎖しつつ、ビルドアップの出口を限定していく。

前線ではCFがコースを切りながらGKへプレスをかけ、ボールをサイドへ誘導。CBに出れば左シャドーが圧力をかけ、最終的に右SBへ展開されると、連動して左WBが激しく寄せてサイドに追い込む。この連動したプレスでヴィラの前進を大きく制御していた。

結果として、ヴィラはビルドアップ局面でボールを失い、実際にユナイテッドの得点にもつながっている。

結論、左SBを押し上げた(4-1-4-1)の形だと、ヴィラのビルドアップはハメやすい。

ユナイテッドのヴィラに対するハイプレスは、狙いが明確で非常に合理的だった。

弱点に見えて、実は“強み”となるヴィラのビルドアップ

【図②】アンカーがトップ下(ティーレマンス)との距離を詰めすぎてしまうと、ライン間にスペースが生じる。

先ほども述べた通り、確かにヴィラの(4-2-1-3)ビルドアップは、2ボランチとトップ下に噛み合わせてハイプレスをかけることで、ロングボール一辺倒になる傾向がある。

しかし、厄介なのがトップ下・ティーレマンスの絶妙なポジショニングだ。守備側としては、アンカーがマークしているティーレマンスとの距離を詰めすぎると、本来アンカーが抑えるべきライン間にスペースが生まれてしまう【図②】。サイドへ追い込んだとしても、ウイングのフリックパスで内側に差し込まれ、プレス回避される場面が実際に見られる。

ヴィラのプレス回避の実例(GIFアニメーション)

そのため守備側は、このライン間のスペースを開け過ぎないよう、常に警戒しなければならない。

つまり、ティーレマンスのポジショニングひとつで、守備側の構造を狂わせることができる。アンカーが距離を詰めすぎた瞬間、その隙を突かれてしまうのだ!

カマラに注意!?

ヴィラの守備的MFブバカル・カマラは、非常に技術の高い選手だ。

ボランチのカマラは、相手にマークされていても巧みなボールタッチで欺き、前を向く技術を持っている。

たとえ2ボランチを徹底してマークしていても、技術の高いカマラにボールが渡れば、個の力でプレス回避されるリスクがあるため注意が必要だ。

ロジャーズのカットインには要警戒せよ!

ヴィラでは、左SH(サイドハーフ)や攻撃的MFとしてトップ下で起用されるロジャーズだが、個人的には左SHでの起用の方が、より脅威的だと感じている。

ロジャーズは左サイドから外→内へと鋭くカットインし、バイタルエリアでコントロールされたシュートを放つのが特徴的な選手だ。

その背景には、左SB(サイドバック)マートセンの存在がある…。

ロジャーズのカットイン(GIFアニメーション)

マートセンが相手を引き付けながらロジャーズの内側をインナーラップすることで、カットインのコースにスペースが生まれる。

ロジャーズが容易にカットインしてバイタルへ侵入できるのは、このマートセンの動きがあってこそだ。

同サイドの彼らは、まさに「至高のコンビ」と言えるだろう。

結局ヴィラは強いの?

結論、今季のヴィラは確かに良いチームではありますが、「強い」と評価するにはまだ”時期尚早”だと思います。

エメリ体制4年目を迎える今季のヴィラは、クラブ史上初となるプレミアリーグ7連勝を達成するなど、快進撃を見せています。

ただし、魔境プレミアリーグでは、絶好調だったクラブが連敗を喫し、一気に調子を落とすケースも決して珍しくありません。

上位クラブになればなるほど日々研究を受ける立場となるため、油断は禁物だと言えるでしょう。

それでも、個人的にヴィラのフットボールは非常に魅力的で、見ていて純粋に楽しいです。今後このチームがどのような歩みを見せていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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